2000年5月ハンギョレ21 306号

生: 咸境道に似て腰の強い麺


hangyore00306.jpg (17492 バイト)咸興冷麺(註:ハムフンネンミョン.いわゆるピビムネンミョンで、汁が無く、辛いタレを混ぜて食べる)のように、その故郷の特性と気質をよく表現している料理も稀だ. 丈夫な麺と辛くて濃厚なタレの味は、咸境道の人々の強靭で弛まない気質をあらわしている. 料理はこのように、地域の特産物とその地域の人々の気質とも関連が深い. 咸興冷麺は、朝鮮戦争時、咸境道からの避難民たちが滞在した所ごとに根をおろし, いまは、そのような特性や気質とは関連く、味と内容で全国民が楽しむ、私たち固有の料理になった. 本来、咸境道特産物のジャガイモ澱粉と、東海岸のエイや果物が主材料で, ここにニンニクと粉トウガラシ, ごま油, 食酢等の薬味が味をかきたてる. そして、あたたかいスープが添えられる.

見た目は単純だが、味が確実で, 混ぜた薬味と共にあたたかい スープを付け加えることで、腹ごしらえを兼ねて苛酷な寒さを防止するのにも効果的だった. ところが、このような咸興冷麺が最近、若い世代の間に人気メニューとして浮上している. 味も以前のように強さをより好むらしい. 平壌冷麺(ピョンヤンネンミョン.いわゆるムルネンミョンで、冷たいスープに浸っている)よりも刺激的で、味が濃厚な食べ物の味に、引き付けられる魅力があるためだということだ. それで、最近では、一般的に‘冷麺’といえば、有名な平壌冷麺店のいくつかの所を除いては、大部分が咸興冷麺店を思い起こさせる.

だが、料理店ごとに使用する材料と味がみな同じであることはない. 全国のあちらこちらに、失郷民(註:朝鮮戦争で北から逃げてきて南に留まらざるを得なかった人々)第1〜2世代が代を引き継いで味を売り物にする店を続けているのだが、一度くらいは直接訪ねて、その本来の味を吟味してみることが、味を正しく理解することになることだろう. 咸興冷麺は、本来、100%ジャガイモの澱粉を使用し, 澱粉の質が卓越していてゴムひものように丈夫で、蕎麦粉を若干混ぜなければならない程だった. しかし、ジャガイモ澱粉の値段が高く、品薄でもあり、大部分はこれよりは低廉ながら弾力もあるさつまいも澱粉を使っていて, 来歴のある店ではジャガイモ澱粉を若干混ぜて弾力を増している状態だ.

昔から、ゆでてすぐ冷たい水にさらした麺は手で引っぱっても切れず, 咸興冷麺を過激に楽しむ人はみな、食べるときには一度も麺を切らないで(註:あまりのコシの強さのため、通常は事前に麺を鋏などで切ってから食べる)、冷麺一盃を飲み込むという. これらの咸境道出身第1〜2世代は、自分たちが好んで食べた、むかしの冷麺に比較すれば、弾力が半分もないのにかかわらず、鋏を使ってまでして食べることを正しいとは思わない.

薬味も、ニンニク, 粉トウガラシがたっぷり入ったタレが基本としてのせられているが、その他薬味と砂糖粉, 食酢とからしを重ねて入れて、薬味そばという程に赤く混ぜてこそおいしくなる. 口がひりひりとしびれて口中の感覚が なくなる程度の辛さとほのかな甘みが極致を成し遂げ, 続けてあたたかいスープを一杯飲めば、ユッケジャンなどを食べた以上に汗が溢れるようになるのだが, このように、食べて‘涼しくよく食べた’という表現をするのが、咸興冷麺の特性ということだ.





このひとの味/ オジャン洞 咸興冷麺 ムン・ソンフン氏


質の良い麺にさしみを載せて…


hangyore00306_2.jpg (20293 バイト)オジャン洞 咸興冷麺は、1955年, 咸境南道興南が故郷のハン・ヘソンおばあさんが初めて店を開いた. はじめのうちは屋号もなしで商売をしていたが、オジャン洞の咸興冷麺のうまい店だと噂されて、顧客から自然にオジャン洞 咸興冷麺店と呼ばれたのが、そのまま商号になったという.

いまは、長男 ムン・ソンジュン(46)氏と下の息子 ソンフン(44)氏 夫婦が相続し, 単純な冷麺店というよりは、家業として継続している. 全国にオジャン洞咸興冷麺店を摸倣した看板がいろいろな所に掲げられているけれど、チェーン店や直営店は一ケ所も置かないでいる程に味管理が徹底している.

経営の主要部分を全て家族が受け持っていて, 37年を勤続している支配人はもちろん, 厨房にも25年を超える調理士が3人いる. これが全国咸興冷麺店の元祖のように呼ばれるオジャン洞咸興冷麺店の真の姿だ.

直接経営を総括しているムン・ソンフン氏は、“咸興冷麺は咸境道地方で数百年にわたって食べられてきた料理なのに、特別なノウハウがありません”という. ただし“新鮮で良い澱粉を使って、季節によって麺の弾力とタレの濃さがつりあうように調節することが必要で, 同じ材料でも粉を練って麺を打ってゆでる過程が全て人の手でなされて, 作る調理士やこれを管理する主人の心がどの程度含まれていているかが食べ物の味を分けるのです”と、説明する.

メインメニューのさしみ冷麺に載せるさしみの材料もまだ近海で捕えられるエイとカレイなどがたっぷり載っていて、新鮮度が確実で, 唐辛子とニンニク等の質の良い薬味を正直に使用すれば、大きな味差がないということだ. さらに、いまは季節的にカレイとエイが1年中最も味が乗っている時なので、さしみ冷麺の味が格別だという.


有名な咸興冷麺店


オジャン洞咸興冷麺=オジャン洞 咸興冷麺を代表する所だということができる. 開業45年目の失郷民2世の主人家族と20〜30年勤続している調理士たちが一様な味を守ってきた. さしみ冷麺 5千ウォン, ソウル 中区 オジャン洞(02-2267-9500).


明洞咸興麺屋=明洞のまん中でやってきた手並みで35年の来歴をもっているだけに, すっきりしていて洗練された姿と 味で名声を積み重ねている. 爽やかなさしみを載せている. さしみ冷麺 5千ウォン, ソウル 中区明洞2街(02-776-8430).


咸興冷麺=永登浦市場前で咸興冷麺とクッパブで少なく見積もって45年の来歴をもっているという冷麺店だ. 20年〜30年を超える調理士たちと共に、使用するうつわまで、むかしと同じようなものに固執している. さしみ冷麺 5千ウォン, ソウル 永登浦区 永登浦洞(02-2678-2722).


サムポン冷麺=江南 デチ洞 グランドデパート後方に位置を占めている. 30年の経歴の咸興冷麺店 厨房長出身の 主人が経営する咸興冷麺店だ. 江南一帯に家族顧客が多い. さしみ冷麺 5千ウォン, ソウル 江南区 デチ洞(02-563-5775).


漢陽麺屋=咸境道の人々が集団村を作っている束草で25年の来歴を積んでいる. さしみ冷麺にカレイを塩辛と砂糖と食酢に漬けたものを載せて格別のうまみを出している. さしみ冷麺 4500ウォン, 江原道 束草市 ジョヤン洞(0392-632-2875).


デイル咸興冷麺=蔚山で唯一、指を折って数える咸興冷麺店だ. 開業18年にしかならないが、咸境道 失郷民 2世が経営する、間違いない咸興冷麺の味と厚い人情が噂されている. さしみ冷麺 4千ウォン, 蔚山広域市 テファ洞(052-249-5836).


ウォンシン麺屋=釜山で3代, 45年を経てきた冷麺専門店. 故郷が咸境道 元山のイ・スンソン(81) おばあさんと息子、孫たちが経営する. 厨房長ヤン・ヨンイク(67)氏が開業時からその席を守っていて、味がより一層頑固だ. さしみ冷麺 5千ウォン, 釜山広域市 チャンソン洞(051-245-2310).


咸南麺屋=麗水市 中央洞 一つの場所で失郷民2代が43年を続けてきた. いまだに創業主ノ・グムソン(78)おばあさんが料理管理をしている. 麗水港に揚がるエイを赤く和えて載せたさしみ冷麺の味が珍味だ. さしみ冷麺 6千ウォン, 全南 麗水市 中央洞(0662-662-2581).



ハンギョレ21 2000年 05月 04日 第306号 .



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