2000年5月ハンギョレ21 307号

特集T私の友, 友よ!


気を許して話せる人もなく生きていく世の中… 貴方の友人は、今、どこにいるのですか



hangyore00307_21.jpg (10255 バイト)プロローグ. 友人がない

“おもしろくないですよ. 一日一日が絶望的です.”(50歳台 企業体幹部)

“気が合って, 話せる友人がいないんです.”(40歳台 家庭主婦)

“友人たちと話すべきことがないのですよ. なんだか落ち着かなくて, 会って酒ばかり飲むのが習慣です.”(30歳台 会社員)

去る4月17日夕方, ソウル・東崇洞 大学路小劇場室内. 一群の人々が三々五々集まり、座って話を交わしている. 40〜50余名くらいだろうか. 熱演する俳優たち? いや. それなら、幕がおりた後に雑談している観客? もっと違う. 皆、舞台を占領しているうえに、あまりにも真摯な雰囲気だ.


hangyore00307_22.jpg (16660 バイト)(写真/毎週 月曜日の夕方、ソウル 東崇洞のある小劇場では、一般人を対象にしたサイコドラマを舞台に上げている)

彼らは、毎週月曜日に龍仁精神病院とこの劇場が共催するサイコドラマ(心理治療劇)の参加者たちだ. 職場と家庭では極めて正常な生活をする成人たちが、見知らぬ人の前で、各々隠してあった内心をさらけ出しているのだ. 自身の性格に問題があるようだと、誇張された憂欝を表わす人があるかと思えば, 家族間の問題で苦しむ人もあって, 職場の上司との葛藤で苦痛を訴える人もある. 2年目のこのドラマを演出してきている キム・スドン博士(龍仁精神病院)は、“多くの人々が自分自身を押さえ付ける、内面的憂欝をドラマの中であらわすようになるが、特に韓国成人は、概して‘気を許して話せる人がほとんどない’という事実を新たに確認することになります”と話す.

春の気運が一度に全身で感じられる今, 精神医学者たちは、この時期が季節の中で最も憂鬱症指数が高いという. それなら、貴方はどうなのか. この春、身震いするように孤独で憂鬱な時, 心を許せる気楽な相手があるか. 何となく寂しい時に呼び出すことができて, 静かに見ているだけでも口元に笑みが自然に出てくる人. 困難な時、いち早く飛んで来て、手を取り合える人. 仕事に苦しめられ、生活に追われる時, 夏の日の夕立のように気持ちをさっぱりとしてくれる人. そういう人を友人と呼ぶのなら, 貴方には本当にそのような友人があるか.


風景 一. あるのんびりしていた土曜日の午後

暖かい春の土曜日の午後, 外国系広告企画社で仕事をする チェ・チャンヨン(34)氏. くつろいで事務室に座っている. 家庭的で模範的な会社員の彼は、今日だけは久しぶりに友人と新旧を暖めたい. 妻と子供たちは、皆、一日前に妻の実家へ行っていないうえに、これまで友人たちとあまり連絡もしないで過ごしてきたという思いのためだ. 手帳を繰ってあちこちダイヤルをすること10余回. 一時間もの間、ずっと同じ仕事を繰り返したが. 順次、虚脱感だけが押し寄せる. 友人たちは、例外無く“先約がある, 急な仕事がある, 疲れている, 旅行に行かなければならない, 娘の誕生日だ, 仕事が押している”などのいいわけをして応じないのだ. ある者は“突然、会いたいだなんて言われても困る”と、彼のせいにした. チェ氏は、事務室でTVをあちらこちら回して、一人家に向かった. チェ氏は、この日の家路で路地の水銀燈がとても侘びしく見えた.


風景 二. お金がなくて、薄情で、佗びしい

京畿道 城南で書籍卸売業をしているユン某(44)氏. ちょっと前に母親の葬式があった. あいにく、同じ日に銀行支店長のある同窓生も同じ事を体験していた. ところが、なんということか! 大部分の同窓生たちは‘よく行く’という向こうの側に弔問に行き, 彼の喪家を訪ねた者は指を折って数える程度であった. たとえ、同窓の喪家が都心に近い江南で, 自身はソウル郊外周辺の城南だといっても、これはやり過ぎだという思いがわいてきた. しかも、これまで同窓会のなかで、面倒な仕事でも率先してやってきたと自負していたではないか!

二日経った後, ユン氏はしばらく混乱の日々を送らなければならなかった. ‘これまで、私が誤って生きてきたのではないだろうか’,‘世の中の人心とはこういうことなのか’. ユン氏は、私達の社会の友人が, いや、自身の友人関係がこのように薄いのだという思いに、重ね重ね辛さを禁じえなかったという.


風景 三. 何を話す?

ある日刊紙 編集記者 ユン某(41)氏. 若い日, 軍隊を終えて、職場に入り、結婚して、子を持って…, 前だけを見て走ってきた彼は、最近ますますさびしい. 酒一杯も交わす友人がなくてそうなのではない. 最近は友人に会っても、話すべき言葉がない. そのせいか、出逢いの回数もますます少なくなっている. 最近、ユン氏は家内工場を運営する友人に会って、より一層、そのような感じを受けた. 懐かしさも少しの間だけで, 家族の近況, 会社の話を終えると、到底これ以上話すべき言葉がなかった. 誰でも関心のある政治の話題も持ち出したが、図らずも顔を赤らめるだけになってしまった.


風景 四. 愛する彼女, サイバー友人!

水資源公社で仕事をしている ハン某(37)氏. 最近、彼は学生時代の振り出しに戻ったような気分だ. 昨年、21歳の女子大生と偶然に知り合い、深く交わっているためだ. 不倫? 援助交際? 違う. その女子大生の名前も知らないのみならず、顔を一度も見たことがない. ‘マージ’というIDを使う彼女とハン氏は、毎日昼夜のサイバー空間で甘い‘接続’をしていているところだ. ハン氏がマージを知ったのは、昨年、あるインターネットチャットルームでだ. 男女関係をテーマに、あるディベートルームで考えが似ている点を発見した彼らは自然に近づき, その後微に入り細に入る日常雑談はもちろん, 夫婦問題から外貌コンプレックスに至るまで、胸の内の話を交わす仲になった. 誕生日には音楽を添付したカードメールをやりとりして, 年末には山のような花と贈り物をやりとりする. もちろん、仮想で. ‘マージ’と交わりながら、ハン氏は一度に自身が若くなっていることを感じる.


風景 五. 十年ぶりの外出

主婦 ファン・インヒ(38・京畿道 高陽市)さん. ちょっと前に参加した同窓会を思い起こすと、まったく気分が滅入る.

今春、二番目の子供が小学校に入学した. ファンさんは、もうちょっと余裕を持てるようになりたくて、たまたま連絡が来た同窓会に出てみることにした. 今後、自身だけの時間をたくさん持つべきだという確認と共に. それで、華やかな春着まで用意して同窓会に行った. ところが、後悔また後悔! かえってみすぼらしい自分自身を新たに確認したためだ. 同窓会は、いわゆるキャリアウーマンたちの庭だった. 契約成功の武勇談をならべる外国系銀行で仕事をする友人, 株式投資で大金を儲けたという他の友人, 皆自己自慢するのに忙しかった. なすこともないまま刈り取られた麦のように座って帰ってきたファンさんは、この日の夕方、大きな誤りもない二人の子供をひどく叱って, 夫にもあたった. それまでの自分が望む通りであったのに, 自分の格好が何故このようになったのか、という思いに揺れて、何日間も仕事が手に付かなかった.



風景 六. ナイトクラブに集まった、80年春の同志たち

時事評論家 ユ・シミン(42)氏は、去る4月23日ほろ酔い機嫌だった. 過去の顔たちに会い、興が乗って語り合ったおかげだ. 80年5月17日, 戒厳軍が梨花女子大を襲撃した時、その場に集まっていた全国大学の学生会幹部をはじめとし, その後、軍法会議に廻された戒厳布告令違反学生達, いきなり軍隊に引っぱられた‘特殊学籍変動者’等、80年春の同志たちが京畿道イルサンのあるナイトクラブで20年ぶりに会ったのである. 酒が何杯かすすむと、“なあ, 私達はだいたいなにをして、こんなに歳ばかりくうことになったんだ”という話が誰かの口から出てきた. そして、語り, 飲む…. ユ氏は、“一時, 純粋だった心を大事に保管したまま正しく生きていこうとする、過去の同志たちを見て、非常に興奮して懐かしかった. だけど、去った時代の闇が相変らず私たちの心を押さえ付けているということも感じた. 思う存分交流するやり方もしらずに, 胸の片方に自己恥辱感もあって. 彼らを見ると、私の顔を鏡に映すようだった”と話す. そんなためなのか, 参加した彼らは、理由を問わず、集いをずっと継続しようと意気投合したという.

hangyore00307_23.jpg (16438 バイト)(写真/ソウル 鍾路にあるミョンサンヨガセンターに集まった会社員たち. 十年の知己のような親密さを示して、お互いマッサージをしている)

風景 七. ミョンサンヨガセンターで会った 人々

会社員 チョン某(45・大韓商工会議所 勤務)氏は、退勤後、ソウル 鍾路にあるヒマラヤ ミョンサンヨガセンターに毎晩‘出勤’する. 過大な業務と構造調整期の気苦労まで重なり、心身が非常に悪くなった彼は、そこで健康をとりもどし、友人を得た. 4月10日, ミョンサンが終わった、夜9時30分. 一人の女性が筋肉がだるいと訴えると、だれかれなく走ってきてマッサージをしてくれる. そして、彼らはお茶を共にして、十年の知己のように‘おしゃべり’を始めた. 職業もばらばら, 年齢も多様だ. この日の会話のテーマは‘貧しさの美徳’. 貧しい国の人であるほど幸福指数が高い, バングラディッシュの人々の表情が一番明るいという話が交わされた. 世界観と人生観や恋愛談と職場ストレスまで、テーマが移って話がつながった.


風景 八. 牛耳嶺を守る人々

英字新聞 編集委員 ジョ・サンヒ氏. 彼は、最近、牛耳嶺保存会の会報誌を作ろうと、目が回るほど忙しい. 彼が参加する牛耳嶺保存会は、北朝鮮産送電塔反対, 光陵林保存, 同江ダム建設反対, ソウル 三清閣保存に至るまで、社会的問題として浮上した環境問題はもれなく見回してきた親睦の集いだ. 93年、ソウル 牛耳洞から京畿道 ソンチョヘつながる道を、市・道が、各々道路舗装するというのを、これを反対した彼らがかたまったことが縁になった. 言論人, 海洋学者, 出版社社長, 主婦, 会社員, 歯医者, 露天商, 市民団体幹事, 教授, 教師等、会員の職業もばらばらだ. 彼らは、毎月一度ずつ集まって、自然探査を兼ねた自然保存運動を繰広げる. ジョ氏は、牛耳嶺保存会の人々に会うのは“生きた面白さがある”という.


風景 九. 酒のみとビール瓶

詩人 ファン・ドンギュ氏と 文学評論家 キム・ビョンイク氏. ふたりの友情は非常に格別だ. 同じ38年 虎年の同じ大学に通った二人は、学窓時期から休みになれば、どちらかひとりの家に遊びに行くか、ずっと留まる程に懇意な仲であった. その後、40年を越える時間が過ぎたが、お互いを理解して尊敬する気持ちは変わりない. ファン詩人は、キム評論家を、“私を常に生きかえらせてくれる人”と、話し, キム氏はファンさんを“立派な詩人”とおだてる. 文人たちの集いがある時には、敢えてお互いに連絡しなくても、行けば顔を見ることができる仲だ. しかし、ふたりの性格は、天地の差. キム氏が酒をほとんど飲まずに静かな方である反面、ファンさんは大酒のみで外向的だ.


hangyore00307_24.jpg (13438 バイト)(写真/見て回れば人がいるが、見て回る余裕がないのだろうか. 今、この瞬間に思い出せる誰かに足を向けてみよう)


エピローグ. 貴方の友人は?

今、この文を読んでいる貴方. どの風景の中の人物か. 九の風景中にひとつかふたつ, そうでなければ、それ以上に重なる画面中の主人公である場合もあり, ここで言及できない、また違う風景中の俳優かも知れない.

だが、構わない. 今, この瞬間. 貴方の友人を思い起こしてみよう. 誰かが浮び上がるならば、その人に、今日だけでも長い手紙を書いてみよう. 愚痴でも良く、哀訴も良い. 仮に、貴方の内心をそっくりさらけ出せる友人がいないならば、机を並べて置いている職場の同僚はどうなのか. 貴方の上司や、取引先の職員はどうなのか. そうでなければ、時々通うスポーツセンターや英語講座の会員はどうなのか. 少しだけ目をこらして見れば、彼らと一緒に過ごすことは多い. 貴方の何年後かの姿を話してみることができて, 酒代を減らすことができるうえに, 一週間に一日くらいは地域団体に出てボランティアをすることができる. 観点と体験を共有した仲がどれくらい濃く, 長いかは、貴方の青春時期を思い起こせば分かるではないか. 友人は意外に近いところにありうる.

キム・ソヒ 記者
sohee@hani.co.kr





ハンギョレ21 2000年 05月 11日 第307号 .


Copyright  ハンギョレ新聞社
webmast@news.hani.co.kr


LiveSpot Information

Scrapbook from
Korea

InternetCafe

Words on the road

LinkCollection

front page

massage board 風窓
掲示板

mail to