2000年7月ハンギョレ21 317号

生: 華麗なホテル, 陰になった労働


ストライキ 宣言したホテル業界 労働者たちの内部事情… 厄介払いをして、非正規職を増やし、賃金搾取横行

hangyore00317_21.jpg (16508 バイト)(写真/ヒルトンホテル労働者たちが、ホテル前で剰余奉仕料を全額労働者たちに返さなければならないと要求する集会を開いている)

ソウルの有名ホテル労働者たちが‘叫んだ’. 警察の‘飲酒鎮圧’などで社会的波紋を呼んだホテルロッテと中区 南大門路 ソウルヒルトンホテルは、一ケ月近く長期ストライキが続いている. 西大門区のスイスグランドホテルも、ストライキが半月目に達する. 南山 ハイアットホテル, 明洞 ソウルロイヤルホテル等、他のホテルなども、労使交渉が進行中であるなど、騒がしい. 素敵な蝶ネクタイに秀麗な容貌が思い浮かぶ、ホテル業界の職員たちが、何故、突然、闘士になったか?

7月6日 午前10時. ソウル 明洞聖堂で 天幕座り込み中の ‘キャプテン シン’(40)は、“人らしく, 人間らしく生きたくて、ストライキをした”と話した. キャプテン シンとは、ソウル ホテルロッテの職員, シン・スンチョル(40)さんのことだ. 国内屈指の 特1級 ホテルであるホテルロッテの職員のシンさんが、劣悪な労働環境に抵抗して死んだ70年代の労働者 ジョン・テイルが叫んだことを、今、叫んでいるのだ.

ホテル労働者たちは、客室清掃夫, 調理士, ウェイター, ウエートレス等、多様に構成されている. ウェイターの場合, ホテルごとに若干ずつ差があるが、普通は実習生-ウェイター-ウェイターB-ウェイターA-キャプテン(キャプテンB・4級)-スーパーバイザー(キャプテンA)-副支配人(アシスタントマネジャー)-正支配人(マネジャー・3級)と、職級が非常に多層的になされている. シンさんは、この中の4級キャプテンだ. 彼の主任務は、ルームサービス. 客室の客たちが酒や料理を求める時、これを提供する役割をする.


今日は夜勤.明日は遅番


ルームサービスは、勤務時間が普通3交代だ. 24時間待機体制であるためだ. 早番の場合には、午前6時から午後3時30分, 遅番は、午後1時から夜10時, 夜勤は、夜10時から翌日の明け方7時まで勤める. “以前には、シフトごとの交代勤務が一ケ月に一度ずつ変わっていたのに, ホテル側が90年代後半になってから構造調整などをした後, ほとんど正規職を登用せずに、‘今日は夜勤.明日は遅番をしろ’ 一日もあけずにシフトが変わるという状況になりました. まさに、最悪の労働状況になったのですよ.”

シンさんは、“会社の経営がむずかしいのならば, こういうことを耐えることができるのですが、会社はIMF以後にもずっと黒字を出してきた状況で、労動條件に対してはすこしの配慮もなしに、一方的に労働者にだけ強度が高い労働を強要してきたことを耐えるのが難しかったのです”と話した.

同じ日の夕方7時、明洞聖堂で集会を終えて汗を拭く‘キャプテン・キム’に向き合った. 彼はソウル 蚕室にあるホテルロッテワールドの職員 キム・チャンギョ(41)さんだ. このホテル飲食品チームに勤めるキムさんは、さる84年にこのホテルに実習生として入り、90年にキャプテンの席に上がった. すでに28日目のストライキだ. “死ぬか、そうでなくても干上がってしまう! やれるだけやってみよう”という彼の顔には、いとも悲壮感が漂っている. “16年ものホテル生活です. 名前はもっともらしいキャプテンですが、やっていることは、いまだに実習生と全く同じですよ. 考えると, 希望がなくなりますよ. だけど、私が職場を巻きこんでストライキにたったのは、そのためでないんです.”キムさんもまた、シンさんと同じように、“人間らしく生きるために, 労働者として正当な待遇を受けるために、でした”と強調した. キムさんは、普通は朝11時に出勤し、夜10時に仕事を終える. だが、キムさんは、こういう労働時間を問題視しない. 彼は、“会社が正規職は後まわしにして、非正規職を中心に社員を選んで、正規職の仕事の強度を高めるかと思えば, 非正規職は非正規職代で不当な待遇を受けている”と指摘した.


サービス料さえ奪われる…


(写真/ホテルロッテ労働者たちが、ソウル種苗公園で、さる6月30日に起きた警察の過剰鎮圧に対して抗議している) hangyore00317_22.jpg (23394 バイト)


キムさんの勤め先は、ホテルロッテワールドのビュッフェ食堂 ‘ラ・セーヌ’. 広いホールで15名のウェイターが休みなしに客の食事をサービスするのだが, 以前は15名以上がこの仕事をしていた. だが、最近では、事実上その半分の7人だけが仕事をしている. “IMF以後でも、ホテル業界はずっと好況でした. けれども、ホテルはずっと人を追い出しました. 人が必ず必要とされる場合には、アルバイト生等の非正規職を投入するのです. ラ・セーヌも15人程度が仕事をしているのですが, 8人はアルバイト生の非正規職です. ところが、アルバイト生は、普通長くても2〜3ケ月の仕事です. 事実上、正規職7人が仕事を引き受けなければならなくなるのです.”このため、正規職ウェイターは、一日一日戦争のような仕事をしなければならない.

キムさんは、さらに、サービス料を考えれば、くやしいことこの上もないと訴えた. サービス料とは、客が払う料金の10%をサービスの代価として源泉徴収する金だ. 本来はホテル労働者たちのお金だ. だが、このサービス料は、全額が会社の売上げに繰り入れられる. 代わりに、会社はこれを基本給に含んで、一定金額を一律的に支給する. サービス料が基本給に含まれたのも、さる94年頃にホテル労働者たちの要求に沿ってやむなくなされたことだ.

しかし、問題は、剰余サービス料. すなわち、ホテルの売上げが順次高まって、全体のサービス料総額は急増しているのに比べ、基本給に含まれるサービス料は非常に薄くて、相当な剰余が発生する. キムさんたち、ホテル労働者は、まさにこの剰余分は労働者たちの持分であるのだから、当然、労働者たちに全額戻さなければならないと主張する.

キムさんは、6日朝、会社が送った内容証明郵便を受け取った. “7月10日までに復帰しなければ, 1人当り1100万ウォンずつ損害賠償請求訴訟を行い, 7日以上無断欠勤をしたので、解雇規定により解雇する”という文が記されていた. だが、キムさんは決してこれに屈しない、と話す. “私は労組の代議員を一度もしたことのない人です. そんな、平凡なウェイターでしかないんです. けれども、もはや、とうてい耐えることが出来ません. 私達がなにを間違っていて、警察に引きずられて死ぬほど殴られなければならないのですか?” キムさんは、さる6月30日、警察がホテルロッテに投入された時、途方もない袋叩きにあった. ほとんど意識を失う程、“犬のように殴られて” 引きずられた彼は、カンアク警察署留置場に長時間閉じ込められていた.


ストライキ労働者たちはトイレにも行けない!


ジョン・スンイ(50)さんは、ヒルトンホテルの客室清掃婦(ルームメイド)だ. その他の2名のキャプテンたちと同じく、さる6月23日からストライキ中だ. ジョンさんによれば、客室清掃婦は、普通、朝8時に出勤し、午後5時まで勤める. だが、清掃作業が決まった時間中に終わるわけがない. 客のチェックアウト時間がずれこむためだ. とにかく、ジョンさんたち客室清掃婦は一日中忙しい. シーツを敷いて, 浴室清掃に部屋の整理と, 洗濯物を回収, 最近ではルームサービスがしたミニバーの点検までする. ヒルトンホテルの場合、4階から22階まで、700余の客室があるのだが, これを70余名の清掃婦が仕事をする. この中に正規職は40余名, 残りは30余名のサービス業者職員が仕事を預かる. ひとり当たり、普通、13の客室を清掃しなければならない.

だが、ジョンさんは“つらい労働が問題なのではない”と話した. “30歳台初めに入社し、18年間、取りあえずこのホテルで仕事をしてきたのですが,‘代理以上も組合員に加入できるように’などの労組要求に、職場閉鎖をして不法的にアルバイト生を雇用して代替人材を使用して, ひどいことに、ホテル前にいるストライキ労働者たちにトイレも使用できないようにするなんてことがあっていいものでしょうか?”

シンさんとキムさん, ジョンさんは、華麗な高級ホテルの裏面に隠されているホテル労働者たちの劣悪な現実, その表象だ. 彼ら労働者を踏み潰して繁盛するホテル, そして、この国の観光産業とは、いったい誰のためのものなのか?

イ・チャンゴン 記者
goni@hani.co.kr


ハンギョレ21 2000年 07月 20日 第317号 .

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