2000年11月ハンギョレ21 334号

[人と社会] 女湯タオルの後に隠れる女性特委

[ 人と社会 ] 2000年11月15日 第334号


本当に重要な懸案には一言も無く… 女性部を作りさえすれば、みな解決するのか


hangyore00334_21.jpg (18470 バイト)(写真/さる11月9日、国会女性特別委員会 業務報告の席で消極的な政策活動を追及されているベク・キョンナム委員長)


‘関羽の青竜刀でハエを殺す.’
あるネチズンが大統領直属女性特別委員会(委員長 ベク・キョンナム)を叱責した言葉だ. インターネットサイト 金の世の中(www.donsesang.com)に上げられたこの文は、さる10月末、女性特委が男女差別是正勧告事例として発表した‘温泉タオル事件’を見て書いたのである. 女性特委が発表した事件は、このように始まっている.

“ソウル市 江南区に住む申請人H(52)は、さる2月29日、家族と共に京畿道 ポチョンにある温泉に行った. 男性と同じ入浴料を払って入ったが、当然無償支給されるはずだと期待していたタオルが支給されず、事業主に抗議すると、‘元来、女性には支給しない’という言葉がそのまま返ってきた. …
これに、女性特委は、江南と江北の浴場各1ケ所を選定し、2週間の標本調査をした結果、女湯のタオル紛失率が男湯よりも高く現れた….” 女性特委は、半年を超える検討過程の末に、“女湯のタオル紛失率が男湯よりも高く現れたが、男湯でもタオルが紛失しているため、女湯でだけタオルを貸さないことは… 女性利用者全員を予備窃盗者だと見る行為で、施設利用及び提供で明白な男女差別だと決定した”と発表した後、該当事業主に是正勧告を下した.


答弁にばたばたするベク委員長


この事が知らされるやいなや、女性特委ホームページ掲示板はにぎやかになった. ことごとに女性特委を非難する‘上得意男性’の主張ではなく、女性主義的見解を持ったネチズンたちの意見がたくさん出てきたのだ.
女性特委があまりにもささいな問題にだけ関わったままで、本当に重要な問題を見逃しているという指摘だった. 何人かのネチズンは、9月初めに女性特委が開催した‘公共建築物の男女トイレ改善法案’に関する公聴会にも関連して“非正規職雇用問題と各種人権問題が山積しているのに、女性特委の女性政策がわずかにトイレと浴場での男女平等か”という疑問符を付けることもした.

今秋の定期国会で政府組織法改正法律案が通過すれば、女性部が新設される. 直属機構の女性特委から、行政部署の女性部へと転換されることは、金大中大統領が新年の辞で明らかにしたことのように、国家の重大な政策課題であり、女性界の長い間の宿願だった. こういう中で、女性政策の産婆の様相の女性特委は、政治圏内外の批判を受けている.

11月9日、国会議事堂 501号 会議室. ある女性が答弁席に座っててんてこ舞している. この席は、国会女性特別会が大統領直属女性特別委員会の業務報告を受ける席. 答弁席に座っているのは、ベク・キョンナム女性特委委員長だった. ハンナラ党 キム・ジョンスク議員などは、戸主制廃止問題, 群山売春村火災惨事事件をはじめとして、最近のイ・ジョンビン外交通商部長官の発言に至るまで、多岐にわたる女性問題に関して女性特委が特別に公式的な対応をしないことを鋭く叱責した.


女性差別関連訴訟は1件もなく


hangyore00334_22.jpg (16213 バイト)(写真/女性部新設を控えて、女性界と政治圏は女性特委の安易な準備状況を憂慮している)


ベク委員長は、イ・ジョンビン長官の失言については、“明白な男女差別だとみなすような法的検討がなされなかったし,被害者からの告発がなかったために、職権調査などが出来なかった”と避けて通った. また、大部分の懸案に関して、“関連部処と協議する”“是正する”“検討してみる”などの一般論で終始した.
すると、一部の議員たちは、“女性一名の重さは、地球の重さより重いという持論を繰広げる女性政策専門機構の首長が 、そのように消極的に女性問題に対するのか”と声を高めた. これまで、女性特委が男女差別, セクハラ予防と教育を重点事業として繰り広げてきたことに照らしてみれば、あまりにも安易な態度ではないかという指摘だった.

大統領直属機構の女性特委は、男女差別禁止及び救済に関する法律と女性発展基本法によって、女性政策を総合的に企画・調整して、男女差別事例を調査・是正して女性発展基本政策と男女平等政策を開発する機能をもっている. 今年、女性特委が推進した重点事業を見れば、政府各委員会の女性参加率伸張と公職部門女性参加拡大勧告, 男女差別及びセクハラ予防のための教育・広報強化, 各種男女平等賞授賞, 女性部新設推進などだ.
しかし、こういう多様な業務にもかかわらず、女性特委は外観にだけ神経を使っていて、内実が弱いという指摘を受けている. 端的な事例として、女性特委は女性発展基金で支援できる女性差別関連訴訟をただの一件も行わなかった.
この日、業務報告の席でハン・ミョンソク議員(民主党)が、“いくらか前、結婚と共に解雇された、ある女性労働者が解雇無効訴訟を進行した. 1審で勝ったが、控訴審ではお金がなくて弁護士なしで裁判に入っていったが、結局は敗れたということがある”としながら、男女差別訴訟支援活性化法案について聞くと、ベク委員長は、“女性特委に申請された事件の中で、是正勧告を下しても解決しない事件に限って訴訟費を支援できる”と釈明してひんしゅくを買った.

これと共に、富川畜産協同組合の女性労働者賃金差別問題を、是正命令権がある労働部に移管せずに、是正勧告だけをした点, 女性公職者進出を助けるために作られた129の1〜3級の開放型任用職に女性がたったの一名だけが任用されている点, 男女差別に関する職権調査をただの一度しか発動していない点なども批判の俎上に上がった. 富川畜産協同組合の賃金差別が問題になった理由は、仮にこの問題を女性特委の意見を付けて労働部に移管した場合、労働部は賃金差額を支払うように強制でき、被害者救済がはるかに現実的なためだ.
国会で指摘された懸案は、女性特委が、与えられた権限さえも正しく行使することができないのではないかという女性界の憂慮を後押しする.

女性特委としては、くやしさもなくはない. イ・サンドク女性特委 政策調整官は、“人材と予算不足に苦しめられるうえに、何よりも執行力がなく、法的枠組のなかでできる仕事の限界がある”と難しさを 訴えながら、“与えられた権限のなかで、最善を尽くしている”と話した. 女性特委 委員長は長官級だが、閣僚会議議決権でも法案発議権がない状態だ.

だが、女性特委の事情をよく知る、ある政治圏人は、“いろいろな限界は認めるけれど、委員長が半年を越える在任期間 に、ただの一度も大統領に単独面談することもできなかったのに、何を話し、何ができるというのか”と女性特委の消極的な活動を指摘した. 国会事務所のある関係者は、戸主制廃止問題に関する公聴会を法務部で行うことについて、“女性地位を見せてくれる象徴的な問題の、この問題を、女性政策の首長が居る女性特委ではなく、法務部の家庭政策審議官が準備して施行したことはアイロニー”と皮肉った. 女性特委は戸主制廃止問題と関連して実態調査だけをして、公式的な立場は明らかにしていない状態だ. 群山売春村火災惨事事件の場合も、女性特委は女性団体等の強力な真相調査要求を受けたが、長・次官会議の席ではただの一度も発言していないことが知られている.


女性部を控えて‘用意された食膳’に安住


hangyore00334_23.jpg (21283 バイト)(写真/女性特委が11月末まで重点事業として繰広げているエネルギー節約キャンペーン)


女性労働団体になると、女性特委に対する不満の強盗はより大きくなる.
全国女性労働組合(委員長 チェ・サンリム)では、‘ゴルフ場キャディー’の40歳早期定年問題を男女差別だと女性特委に是正申請したが、申請自体を取り下げたことがある. 労働部からゴルフ場キャディーは勤労基準法上勤労者ではないと言われ、女性特委は処理するのが難しいという理由で、取下げを推奨したのである.

ソウル女性労組(委員長 ジョン・ヤンヒ)では、女性特委調査官の態度を問題視して、女性特委に抗議性のある質疑書を送ったこともある. ある公企業でセクハラにあった被害女性が、女性特委に是正申請を出したが、調査官からかえって侮辱にあったという主張だ.
質疑書によれば、調査官が被害者の前で “結局はお金でしょう? 金をくれということですよね?”,“会社が逆に貴方を訴訟したらどうします?”, “わたしの個人的な考えでは、それがどうしてセクハラ なのか” などの言葉で、調査官の任務を放棄したということだ. この質疑に対して、女性特委は調査官の業務と教育過程に対する一般論を書いた答弁書を送ってきただけだ.

女性特委が男女差別申告センターを運営して、今年1月から10月末までに申告を受けた事例は、計1325件(電話・インターネット相談1140件を含む). その中で是正勧告は、27件に過ぎない(表 参照). ソウル女性労組 ジョン・ヤンヒ委員長は、“女性特委に申請した事件は、大部分明白な立証資料があったり、被害者の意志が明らかな事例であることを知っている. そのような点で、民間女性団体で調べて処理する水準にはるかに及ばない”と指摘した.
ある女性団体活動家は、最近、女性特委が繰り広げたエネルギー節約キャンペーンを例に上げて、“これまで社会問題になっていた女性問題に何らの対応をしない女性特委が、こういう展示行政にまい進する理由がわからない”としながら、“すでに女性の見解よりは公務員の見解を全面に出している女性特委が女性部をどのように準備するのかが心配になる”と話した.

多くの人々が憂慮する、本質的な問題は、女性特委の‘意志’だ. 何よりも、女性部新設を控えて、女性特委があまりにも‘用意された食膳’に安住しているという憂慮が高い.
女性部の権限と位相は、女性特委とは比較出来ない程に大きくなる. だが、こういう権限は簡単に与えられるわけではない. 例えば、男女差別事例に関する、いままでの是正勧告が是正命令としての力を持とうとするなら、現行の男女差別禁止及び救済に関する法律に是正命令権が含まれなければならない. しかし、女性特委の意見を参考にして政府が提出した改正法案には、是正命令権が抜けている. また、政府組織法改正案には、専門性が要求される女性部の男女差別改善委員会の常任委員を、女性部職員が兼職できるようにされている.
ある国会関係者は、“法案通りに行けば、常任専門委員を委嘱するのが難しくなる. 可能なかぎり専門担当者を確保しなければならない女性特委が、行政府に基づいた機構と人員職制に、原則を持たないままでからだを合せたように見える”と首を振った.

こういう批判に対して、ベク・キョンナム女性特委 委員長は、<ハンギョレ21>とのインタビューで、“とにかく女性部を作って、徐々に法案整備をしていく”と明らかにした. 女性部新設をめぐって、女性特委が自分の仕事をできないという指摘に対しては、“最善を尽くしている. 女性部新設に関する準備は軌道に乗っている. 政治や行政も、結局は人がすることなので, 信頼関係に基づいてやることだ”と話した.


これからも批判に耳を傾ければ


女性部新設を控えて、女性界と政治圏が憂慮するのは、女性特委が業務の‘集中と分散’を明確にする準備を正しく出来ずにいるという点だ.
民主党のある議員は、“女性特委で推進したことを見れば、セクハラ予防事業の他には、他の部処との業務重複を避けて、周辺をぐるぐる回る傾向が多い”と評価して、“保守的な公職社会では、あまりにも出過ぎればブレーキがかかるが、あまりもたついても淘汰される. 新設女性部では、実現可能な政策を中心に、はっきりと業務を推進するように”と要請した.
ソウル市のある女性公務員は、“一線に居て当面する女性政策は、人権問題と雇用問題であることを感じる. 家庭暴力・性暴行, 売買春関連の女性人権業務は、片側だけの業務だ. 正しく執行するためには、業務要請がくればするからと待つのではなく、明確な実態調査から急ぐべきだ”と指摘した. ある女性団体活動家は、“いままで、女性特委は批判よりは配慮をよりたくさん受けてきた. 今でも、官僚化を憂慮する内外の批判に積極的に耳を傾ければいいのだが”と話した.

健康な女性部を産むためには、へたな帝王切開よりは、産苦が大きくても自然分娩をしてくれという、女性特委に対する風はひとり国会議員や公務員, 女性団体活動家たちだけの考えではない.

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