2001年1月ハンギョレ21 341号

[マイノリティ] あなた方のご飯の値段が私たちの製作費

[ マイノリティ ] 2001年01月03日 第341号

したい音楽をするために、インディレーベルが選択した、険しい道 … 画一化された流通構造が最も大きな障壁 

写真/12月28日 弘大前 クラブ フィード(註:原文通り)で開かれた、3号線バタフライのレコード発売パーティ. カンアジ(註:子犬)文化芸術の所属バンドだ.(イ・ジョンヨン 記者)

90年代以後、韓国大衆音楽市場は賭博場と似ている. 大型企画社は売れそうなレコードに最大限注ぎ込んでおいて、次に、ジャックポットが炸裂するのを待つ. 勝者, すなわち大ヒットになる、1年に5,6枚のレコードは、1千億ウォン台に達する市場の80%以上を持っていく. 全レコードの0.1%にもならない大ヒットレコードを炸裂させるための大型企画社のベッティングは天井知らずに上がり、既に、レコード一枚の平均製作費は、軽く1億ウォンを超えて、最近ではミュージックビデオ1本撮るのに億ウォン台を投資する歌手たちも増えている. 通常、大ヒットの基準になっていた30万枚が、今は損益分岐点に近づいた. 


使命感一つで頑張る 

しかし、1万枚で大ヒットになるレコード会社もある. いわゆるインディレーベルと呼ばれる、低予算独立レーベルだ. 商業的な論理で言えば、家内手工業と言える程、彼らの規模と製作与件はみすぼらしい. しかし、メジャーレーベルの製作と流通方式に反旗を翻した彼らのゲリラ戦は、小さいけれど意味のある成就を成そうとしているなかだ. 

弘益大前、サヌリム小劇場向い側の建物地下にあるキャバレーサウンド. インディ文化の概念が形成された頃の96年から活動してきたレーベルとして, 言論の尻馬に乗ったインディレーベルたちの大部分が門を閉めた現在まで、強固にその席を守っている低予算レーベルの末兄格だ. キャバレーサウンドは、レーベルとしてスタートした98年から、7枚のアルバムを製作した. この中には、外部の支援を受けたレコードは一つもない. 企画から録音, マスタリング, アルバムデザインまで、純粋キャバレーサウンドレコードを作った. キャバレーサウンドのタイトルの前には、いつもロー・ファイ(Lo-fi)という単語が付く. 原音そのままに再生する録音機術の‘ハイ・ファイ’の反対になる、一種のアンチ概念だ. 

“高い装備を使えば、良い音質が出てくるのは当然だが、必ずあらゆる音楽にハイ・ファイが必要とされるわけではありません. 私達は技術的に完壁な演奏よりは、感じが良い演奏を作りだそうと努力しています.”キャバレーサウンドの イ・スンホ氏は、“キャバレーサウンドという言葉が伝える古びた感じのように、4トラックが持っている魅力を新しく解析することが、私たちの方式”と話した. 

このように作るレコード製作費は、メジャーレーベルとは比較にならない. 時に400万〜500万ウォンで、レコード一枚を作る. 外国製バンを乗りまわすメジャーレーベルの歌手が一緒にやっているチームの何回かの食事の値段に該当するお金だ. しかし、これが可能な理由は単に‘貧しさ’だけではない. “私の音楽は、私が作るアーティストたちの考え方が低予算を可能にします. 一旦 メジャー音盤社が数千万ウォンずつ注ぎ込む作詞・作曲費を入れることもなく、プロデュースとレコードデザインまでをミュージシャンたちが直接参加するので、メジャーでは数十段階に膨らんでいる作業が、5,6段階に圧縮されることになるのです.”カメラフラッシュの洗礼を受けながらも、‘イモ’という侮りから自由ではないメジャー市場の多くの歌手たちと比較する時、彼らの貧困は自負心に変わる. 

キャバレーサウンドのように華麗ではないけれど、一貫して活動する低予算レーベルたちがある. カンアジ文化芸術も、その中のひとつだ. “私達がしたい音楽をするために、各自が持っていた装備を集めて録音スタジオを作りながら開始”したカンアジ文化芸術は、すでに18枚に達するカタログを保有した中堅(?)低予算レーベルとしての席を固めた. “はじめは、メンバーが他の生業を持って、製作費を調達しなければならないほど難しかったのですよ. けれども、私達がやめたら、大衆音楽の小さな価値がまたひとつ埋もれてしまうという、一種の使命感で持ちこたえてきました.” カンアジ文化芸術のビョン・ヨンサム代表は、“お金を儲けられればもっと良いけど、わたしたちはしたい音楽をして、リスナーたちには選択的対案の幅を広げてあげることができるから、楽しいのです”と、自分たちの作業の意味を話した. 


ファッションだけを探すメディアの視線 

写真/インディバンドの中で、キャバレースタジオを通らないバンドがほとんどない程だ. 今年のはじめにキャバレーサウンドからレコードを出すバンド ウィチウィルの練習風景.(パク・スンファ 記者)

腰のベルトをきつくしめる、自らのノウハウを体得しながら低予算レーベルたちは、自体製作システムを確保するのに成功したが、流通市場ではまだ多くの困難を経験している. 流通会社が振り向くこともしなかった草創期には、オートバイで全国レコード店を訪ね歩き、いちいち説明をして、受け入れることを‘哀願’しなければならなかったこともある. “大衆音楽のジャンルが多様な外国と同じなら、マニアのためのショップにだけ置いても、最小限の収益が可能です. しかし、ダンスやバラードの他には市場が閉じられている韓国では、レコードを配布すること自体が戦争でしょう.”人気歌手のレコードだけを選んで売る小売り商は言うまでもなく、大型歌手のレコードが大きく動いて、他を‘押し出す’ときは、卸売流通から拒否されることが多い. それで、一名の顧客でも欲しい彼らが、最もたくさん受ける電話内容は、まさに“レコードを求めることができない”という消費者たちの不満だ. 

決済方式も、普通の市場慣行の先納金ではなく、後払い制を要求されている等、相変らず不公正競争の中で孤軍奮闘している. 零細な状況では、マイナーレーベル専門流通機関が生じることが望ましいが、何度かの試みが失敗に帰した. それで、大型流通と手を結ぶこともあるのだが、この過程で大小の問題が生じる. 今年6月、外国系大型レコード社に流通を依頼したMPの イ・ジュヒョン代表は、“二日で3万枚が売れたと満足していた流通社が、後になってから全販売量が3万枚だと言うのです. 二日で3万枚売れたアルバムが、それ以上売れなかったなどとは、話になりませんよ. しかし、販売量集計を確認することができないので、ただ座ってさせられるままでいるしかない格好でしょう”と話した. 結局、ダンピング処理する現場まで目撃されて、MPは他の流通社をさがすしかなかった. 

メディアの無関心も、これらの歩みをのろくする一要素だ. “ノーブレイン 第1集を作りながらミュージックビデオも二編も撮る等、広報に力をたくさん入れました. ところが、空中派は言うまでもなく、音楽チャンネルでも何らの関心を見せなかったのです. ビデオ製作費だけを無駄に飛ばしたことになりました.” パンク専門レーベルである文化サギ団のキム・ジェジュン代表は、“インディ音楽は既に盛りを過ぎたのではないだろうか”と、音楽ではなくファッションに興味を見せるメディア等の視線に対して悔しさを表した. しかし、そんなメディアの態度にもかかわらず、MPホームページの一日の照会数は8千を超えて、文化サギ団は、昨年12月24日のクリスマス公演時に席がなくなって100余名の観客を帰す程に支持軍団を得ている. 


薔薇色の未来はないけれど… 

写真/低予算レーベルが市場に発表したレコード. 一枚大きくヒットさせることではなく、着実にレコードを出すことが、彼らの目標だ.

しかし、最も大きい問題は、やはり再生産構造を危険にする経済的難しさだ. “慢性赤字です. もちろん、製作費自体がメジャーよりも小さいため、失敗しても存立が危険なほどの打撃を蒙りません.” カンアジ文化芸術の場合、永く活動しながら積んだ知名度もあり、個人後援を受ける形式で金銭問題をある程度解決している. 他のマイナーレーベルよりも事情が良いMPの場合も、三名の共同代表が相変らず健康食品を売ったりリース会社に通いながら、生活を支えている状態だ. “私達の風は、今回のレコードを大きくヒットさせるというのではなく、次のレコードを無事に終わらせるものです.” キャバレーサウンド イ・スンホ氏の風は、あらゆる低予算レーベルたちの風でもある. 

明らかに彼らは、両足に砂袋を三-四個ずつぶらさげて、スマートなウェアを着たメジャーレーベルたちと、市場というトラックで競争している. 資金力を武器として前面に押し出したメジャーレーベルの相手をする彼らの武器は‘音楽’だ. “今でも豊饒ではないけれど、今後も薔薇色の未来が広がるだろうとは期待しません. けれども、楽しいのです. 私達が望む音楽を作っているのですから.” 彼らは楽しむために音楽をし、レコードを作る. その楽しみは、少しの間のバブルのような日々を過ぎ、インディ音楽の風が幽閉的な垣根を超えて、ファンたちとの丁寧で持続的なつながりを作っている途中だ. 

キム・ウンヒョン記者dmsgud@hani.co.kr