2001年7月ハンギョレ21 366号

[ 文化 ] 話しなさい, Tシャツで話しなさい
2001年07月04日 第366号

Tシャツはチラシより、もっと強烈なメディア… ブランド第一主義に反旗を翻した‘Tシャツ行動党’

去る6月23日、ソウル・東大門運動場のそばのエムポリスの前庭では異色的な行事が行われた.
Tシャツ行動党創党大会と名付けられたこの行事には、スローガンや旗も, 演説者の唾の飛ぶ叫び声もなかった. その代わりに、午後2時から深夜12時近くまで、パンクバンドの公演が行われ, そのそばではスケートボード族が休むことなくハラハラするボーディングの妙技で演出した.
400人近く集まった群衆は、鉢巻きや肩帯の代わりにぼさぼさのパンク頭とゴシック化粧の姿で、ヘッドバング続け、踊った.
よくありがちな、猟期性タイトルをつけたコンサート現場だと考えやすいが、この日の行事の主人公は、行事場所にかけられた紐に下げられた数十種のTシャツであった.

ファッションファシストよ, 歴史の墓へ!

アナキストを意味する大文字A, 頭巾を被ったメキシコゲリラ指揮者・マルコスの顔, スターバックス ロゴ上にコーヒーがこぼされているスターファックス(Starfucks)等、普通ではない絵がプリントされているTシャツ30余種が行事場所と販売台で聴衆と出会った.
この日のハイライトは、Tシャツ行動党の創党宣言.

‘…われわれは、真実を隠すために各種虚偽意識でぎっしりと塗り固められたブランド第一主義を軽蔑する. 内容がどうであれ、そのようにあらゆるマーケティング技法と莫大な資本を散布して反復学習をさせることによって消費者の欲求を統制できると信じる旧時代のファッションファシストたちは、もう歴史の墓に消えなければならない時だ….

’Tシャツ行動党は、ストリートファッションの商業主義とブランド第一主義を猛烈に批判した.
“Tシャツはメディアだ.” Tシャツ行動党の主張は新しいことのように聞こえる.
しかし、大学で, 労組で、大きくスローガンが描かれたTシャツを着てみた 経験がある人はかなり多い. 人々に会い、自身の政治的立場をひとりひとり説明して説得するよりは、Tシャツを着るほうがはるかにたやすい意志表示の方法だ.

単に政治的スローガンだけではない.
カート・コベインやセックスピストルズの姿がプリントされてあるTシャツを着た人間が出会えば、敢えて対話しなくても、既に下位文化の支持者として情操的連帯感を形成できる.
白色無地Tシャツに皮肉っぽくプリントされたナイキのロゴは、東大門に置かれた5千ウォンTシャツの消費者たちと私を区別するのに、どんなにすっきりしていることか.
Tシャツは、永らく最もなじまれながらも強烈なメディアとして君臨してきた.

“チラシの代わりにTシャツを作ろう.”

東大門の党舎(?)で会ったTシャツ行動党の‘兄貴’イ・イルヒ氏は、行動党のモットーをこのように要約した.

“路上で出会う若者達の体を見てください.
生の内容とは関係がないブランドやキャラクター, でなければ、米国上流大学の100年記念ロゴや、はなはだしきは帝国主義国の軍隊象徴物で塗り固められているだけです.”

単に非商業的で不尊だという理由だけで、市場ファッションでさえ無視するが、‘別の’選択の機会を提供しようというのがTシャツ行動党の創党趣旨だ.
七坪に足りない事務室には、プリント工場から持ってきた30余種のTシャツ数百点と、3台のコンピュータ, そして山と積まれているLPとCDの間から流れ出る音楽があった.
一見当たり前のように見えるロゴの下に、‘Fuck U Bourgeoisie’と書かれているパロディ, 消費者の上唇にハサミのようなものが挟まれているナイキのロゴが印象的なTシャツなどが目についた.

“ブランドは、Tシャツ原価の数十倍に該当する、泥棒とも言える価格暴利を得ているだけでなく、消費者たちの欲望を操作し、結局は消費者を奴隷に仕立て上げます.
そこに反旗を翻そうというのですよ.”

多品種少量生産… 物々交換で

写真/‘何を伝達するか’.Tシャツ行動党員たちは七坪に足りない事務室空間で絶えず討論する.(イ・ジョンヨン記者)

"兄貴"の表現によれば、4名が主軸になったこの結社体は、昨年秋企画されて、今年1月から稼動を始めた.
代表, デザイナー, 原緞担当, 行政業務など、形式的には担当業務が分れているが、事実上あらゆる業務は共同作業だ.

“Tシャツに印刷する絵を決定する時まで、多くの討論がなされます. ひどく可愛い絵や、よく売れるデザインは無意味ですよ.”

彼らが指向する生産方式は、多品種少量生産.
消費者の選択の機会を高め, 自ら企業家になる道を防ぐためだ.
販売はすべてオンライン(www.theT.co.kr)を通すだけでなされる.
オンラインに固執する理由は、消費者との双方向コミュニケーションを志向するからだという.

“Tシャツのデザインは、すべてオンライン上の討論を通して決定するのです.
私達がアイデアを出しておこうが、消費者が出そうが、オンライン上でその意味と製作方向を討論した後、製作に入っていくことになりますよ.”

単純にウェブ上の討論のみだけでなく、望む人や, Tシャツを買うお金がない人には、実際の製作現場に参加を誘い、労働と所有を一致させるという考えだ.
彼らのビジネスもやはり、物々交換という、反資本主義的方法を取る.
創党大会時に参加したバンドたちともそうであり, 人物として初めて登場した歌手 シン・ジュンヒョン氏とも、公演時ごとにTシャツを提供するようにして肖像権を買った.
もちろん、独占権ではない.
彼らが批判しようとすることはブランド商業主義だけでない.
幼い時、サイコロを投げてうんざりするほど遊んだ国民双六盤, 今は記憶の彼方に消えたプロ野球団スーパースターズのロゴなども、デザインとして登場する.
流行の復古風であるとか、記号であるとか考えるのは誤算だ.

“スパイを捕まえれば、数十コマをピョンと飛び越えるという、幼稚な方式で子供たちに反共イデオロギーを注入した時期を省察してみようということですよ. 三美スーパースターズの誕生と消滅は、‘子供に夢と希望を’というモットーで生まれたプロ野球を、実質支配してきた政治論理を見せてくれる一断面であるのです.”
‘宇宙精子’氏のデザイン背景の説明だ.

サイトショップに展示されたTシャツにデザイン意図を詳細に説明してあるだけでなく、サイトで一緒に運営するウェブマガジン‘行動党文化戦線’では、路上のサブカルチャーに対する多様な文章を載せる予定だ.

ファッションと抵抗の間での綱渡り

流通とマーケティング費用を排除した最低価販売政策を実施しているが、販売を前提にする彼らの活動に批判の余地もある.
反資本主義的サブカルチャーを商業化する高度な資本主義的戦略ではないのかという疑問と、彼らが追求するアンチブランドが、また別のブランドになりうるという憂慮だ.
資本主義と帝国主義に対する抵抗を象徴するゲバラが洗練されたファッションになったように.

“行き過ぎた純潔主義です。結局、戦いは体制のなかで行われざるをえないのですよ”
という党員の反撃を "兄貴"が受け継いだ.

“事実、容易ではない問題です。創党大会時、かなり政治的な意味が強いTシャツは敬遠されながら、比較的 よく知られたアナキストTシャツは完全品切れになりました.”

これに対する戦略は2種類だ.
まず、Tシャツからラベルや行動党のロゴは完全に排除した.
少量限定販売を通じて、ファッション化になる徴候を見せるアイテムは製作を中止するという確認もその一つだ.
より注目しなければならないことは、“対抗ブランドが私たちの意図した政治的・文化的結果を得たら、即時自主廃業する”という公約だ.

約束できないが、見当をつけて 2〜3年を自分たちの寿命として見通している.

“人々がデザインの正確な概念を知らなくても問題になるわけではありません. ファッション化になることは反対しますが、多くの人々が着るということは、‘わたしたちはそのように考えない’と考える人が多くなるということだからです.”

 デザイナー‘ラグジュアリー・カン’の話は、ファッションと抵抗の境界線から、彼らが乗ることになる綱渡りを予測させる.
しかし、彼らの実験は十分に注目するに値する.
新しい文化とは、いつもあったこと, いつもそのようにしたことに対する疑問と小さな亀裂の振動から根を張ってきたためだ.
Tシャツ行動党 (www.theT.co.kr)
キム・ウンヒョン記者 dmsgud@hani.co.kr