2001年11月ハンギョレ21 383号

女性も自慰をするのか?
[ 聖域破壊 ] 2001年11月07日 第383号


女性も自慰をするのか?
無知と誤った通念に包まれていた禁忌, ‘楽しい性’のために公論の広場で話そう

 

写真/ ジョージア・オキーフ作<ベラドナ-ひとつ>(1939)

“自慰を多くすると健康に害になるのでは?”(20代 学生)

“膣挿入はもちろん、陰核(クリトリス)を刺激してもオルガスムを感じることができないので、不感症でないかと心配になります.”(30代 未婚)

“女友達が性関係は痛いと避けるのに、性器を愛撫してあげると興奮します.”(20代 未婚男性)

“夫に自慰している事実を見つけられて、どうすれば良いでしょうか?”(40代 既婚)

“性行為時に興奮できないので、自慰をすればその助けになるのか, 自慰はどのようにしなければならないのか….”(30代 既婚)



女性の悩み, 悩み…

いくつかのインターネット性相談コーナーに上げられた質問だ.
この質問に対して、泌尿器科の医師たちさえ100%の正答を準備していない. それほど、性は普遍的ながらも個人的な問題だ. 特に、‘女性の自慰’は、ずっと個人的な領域にだけ埋まっていた.

“最も個人的なことで、最も政治的なこと”という女性運動の長い間の話の種を再確認しなくても, 女性の性にはいつも家父長的伝統が後押しした‘政治的な’背景が敷かれていたという事実を否認するのは難しい.
いまは歴史の中に消えた古典的主題でも、‘女性にも性欲があるのか’という質問は、私達の社会では僅か何年前かまで論争になったりした. とても長い間、女性は‘性の主体’ではなかったのだ. その間に数多くの禁忌が生まれ, その禁忌は男性はもちろん女性個々人にも歪曲された観念と隠密な幻想だけを残したまま‘性の喜び’を持ち去って行った. 代表的なのが、‘女性の自慰’だ.

男女を問わず、ある程度の年齢になれば、男性の自慰に関する情報は持っている. しかし、女性自らも女性の自慰に関してはよく知ることができない. 体験もなく、情報もない.
韓国性医学研究所(イ・ユンス泌尿器科 付設)が成人女性1400人を対象に調べた 結果によれば、韓国女性の大多数は自慰をしてみたことがなかったり(70%), 現在はしていない(18%). 他の調査によれば、女性の過半数は自慰を通じてオルガスムに達する方法をよく知ることができない. また別の相談内容を見よう.

“夫と私は、互いを尊重していて、周辺からは理想的な夫婦だとうらやましがられます. ところが、問題があります. 結婚前は一ケ月に二回程度は関係を持ったのですが、結婚して数ケ月後からは性生活が静かになりました. 今年などは、たった一度の関係を持っただけです. 少し前に夫が話しました. 結婚前には私が性行為を楽しんでいたのに, 今はそれほどうれしがらないと. 面白くなくて、したくないというのです. 夫は自慰を薦めます. 自ら自身のからだがどうなのかを知っているべきではないかと. その言葉で傷つきました. もう夫とセックス出来ないというようなものです. 性欲を感じながらも、性行為の時、容易には興奮できない私が問題なのでしょう.”(結婚2年目 主婦)

公開相談室に上がったこの文をいくつか健康サイトと女性ポータルサイト運営者に送ってみた. 帰ってきた答えは色々であった.
“真摯な対話で解きほぐそう”という丁寧な忠告、“もし、これまで良くなかったのなら、良いふりをしなかったか、自身を見直しなさい”という責任論に達するまで、いろいろなスペクトラムを描いた. それなら、相談を請うこの女性の場合、自慰をしなければならないか, どうか. するならば、どのようにするべきか. 愚問ではあるが, 多くの女性にとっては決して愚問ではない.

性談論が本格的に提起された90年代以来、私達の社会で、性は、‘洪水’という表現が合う程に、公開的な談論の広場に遠慮なく登場した.
片方ではポルノと猥褻物に関する警告があふれるが、他の側からは意味のある性教育に関する議論も活発だ. いわゆる性の社会化過程を通り過ぎているところだ. ところが、なにかが抜け落ちている.
フェミニストたちの集いの‘月の国の娘細胞’の編集委員 イ・ソリ(28)氏は、“極端な話、空中波では青少年の自慰に関するヘルプまで出てくるけれど、女性の自慰はないに等しい”と不満だ. イ氏は、このサイトのウェブマスターとしての仕事をして、自慰に関する悩みがあふれ出ているのを見て、より一層関心を持つようになったという.


“本当に、どのようにしているのか知らなかった”

写真/ 女性が自慰を通じてオルガスムに達する方法や時間は多様だ. 画家出身の性専門家 ベティ・ドースンが自ら描いたデッサン.


“女性の自慰とは言論媒体のエログロのページを飾るファンタジーの一種だとか、女性学理論書に出てくる異常事だとだけ思っていました. 自慰をしたくないとか、生活に必要ではないというだけではなかったでしょうか. 本当にどのようにすればいいのか知らなかったのです. 何年か前、ある友人は、自分はシャワーを利用してすると言い、セックスよりも自慰がより楽しいと囁きました. シャワーを利用する方法は相変らずよくは知らないのですが、私はすでに私だけの自慰方法を知っています. 私自身を本当に愛するような感じです. 重要なのは、昔のエロアジュマの話のようにキュウリを入れるたり, なにかを膣の中に入れることもないということです.”

女性の自慰は、公開的な場所で本格的に論議されることがなかっただけに、オンライン相談や集いではよく話になる主題だ.
11月23, 24日にコンサートを控えている歌手 ジヒョンさんの代表曲は<マスターベーション>. 昨年、アンチミスコリアフェスティバルに初めて出たこの歌は、ネチズンの間で密かに人気を呼んでいる. ジヒョンさんは“幼い時からこっそりと悩んできた問題に関して、人々と共に呼吸してみたかった”と曲を作った趣旨を説明する. “主に女性関連行事で歌うのですが、人々がはじめは驚いても、途中ですぐに非常に喜びます.”

ソウル 梨花女子大前で性生活用品店を運営するキム・ヨンオプ(52)氏は、“6年前に店を開いた時には男の利用客の方がはるかに多かったのですが、今は男女利用客の比率がほぼ半々です”と話す.
韓国セックスショップ1号として言論の注目を受けたこの店で、一番多く売れるのは、マッサージ器と男性性器をまねた女性用自慰器具.
“いつだったか、老夫婦が一緒に来て、震動自慰器具を買っていきました. 店をしているので、さまざまな相談もするようになるのですが, パートナーがいない人はもちろん、パートナーと良い関係のために器具を求める人も多いですよ.”

それなら、‘女性の自慰’のかんぬきが解かれたのか?? 最近の流れだけを見て予断することは難しい.
泌尿器科専門医 イ・ユンス氏は、“オルガスム障害がある人に限り、自慰を薦めることもあるけれど, 私達の社会全体的な雰囲気では自慰をセックスの一形態として積極的に説破することには用心深い”と話す.
しかし、大型書店の健康と女性関連コーナーには各種性生活指針書が置かれ続けている. ‘夫婦のための’というタイトルが順次消えて、‘自ら楽しむ’や‘女性のための’などの副題がともなう本が出てくることもやはり目を引く.


情報が無いことが、とんでもないということを知らされる

女性の性を具体的で挑発的に扱って、去る春に相次いで話題になった<ボザイナ モノローグ>(ブックハウス 編集出版)と、<とても小さな差>(イフ編集出版)に続き、今回は女性の自慰に関するガイドブック一冊が出版を控えている.
11月中旬出される予定の<四方にアマゾンを育てる>(原材 Sex for One, 現実文化研究 編集出版). 著者 ベティ・ドースンは、ニューヨークで活動した画家出身で, 性学(Sexology)で博士号を取って、七十を越えた年齢にもかかわらず精力的に大衆講義をする性専門家だ.
74年の初版発行以来、96年までに4回の改訂版を出して、米国等の英語圏地域女性たちの性教科書として読まれてきたこの本は、 ベティ・ドースンが30年間設けてきたボディセックスグループ(性ワークショップ)の臨床報告書でもある.
ベティ・ドースンは女性たちに、“積極的に自慰しなさい”と勧告する. “自慰は自分自身を積極的に愛する行為です. 自身を愛さないで、自分のからだをよく知らない人に満足なセックスの機会は与えられません.”


男性より特別な女性のオルガスム

写真/ 性生活用品店の多様な女性用自慰器具. 女性一人またはパートナーと共に来て自慰器具を買う姿も頻繁に見ることができる.(キム・ジョンス記者)

片方では自慰をしてもかまわないのかを聞いて, 他の側からは自慰を積極的に薦めるガイドブックが出てくるのが、私達の社会の女性の性が対する現実だ.
<とても小さな差>を翻訳したキム・ヘジャ(女性ポータルサイト w21.net 企画理事)氏は、“女性の性が女性の見解ではなく, 男性の見解で論議されたために、征服したり保護する対象としてだけ見なされるだけで, 探索と研究の対象になる機会を持つことができなかった”と、その理由を分析する.

実際、青少年性状談室には、女性の自慰に関する質問が時折入るが, 大部分が男子青少年の質問だ.
‘アハ! 性文化センター’ パク・ヒョニ相談部長は、“子供たちに女性の自慰に関して説明してあげると、皆目を見張る”と話す. 性教育が体系的に進行される一部の学校現場では男性の自慰に関しては詳細に言及する反面, 女性の自慰に関しては特別に扱わないせいだ.
パク部長は、“情報が無い女性の自慰に関して、全くとんでもない知識を持っている場合が多い”と指摘する.
実際、青少年が頻繁に入る相談サイトに行けば、“女友達が自慰をするとレズビアンになって、私に会わなくならないかと恐れる”という男子学生の質問や“偶然に入浴をしていて興奮したことがあります. ひょっとしたら、私は変態ではないでしょうか?”という女学生の質問をすぐに発見できる.

こういう中で、女性の自慰に関して誤った神話と通念が存在することは当然でありえる. 自慰をすれば、小陰唇や膣の形が変わるとか, パートナーとの関係での性感が落ちるというような内容だ.

自慰をどれくらいしなければならないのか, どんな方法なのかは人ごとに千差万別だ.
現代の学では、女性の場合、陰核(クリトリス)を通じてオルガスムを感じると説明する. 膣挿入で快感を感じる場合も、この陰核が膣の動きに影響を受けるためだ. 筋肉で囲まれた女性の膣は、それ自体で快感を感じないことが報告されている.
したがって、女性のオルガスムは、男性とは違い、歳を取るほどより濃密になりえて, 概して老年期に至っても陰核の感覚は大きくは減らない.

女性紙とインターネット媒体等に性関連文をたくさん書き続けたフリーランサー パク・ジウン(仮名・35)さんは、“わたしの場合は、理論ばかりで実戦には弱かった”と自身の体験をさらけ出す.

“私たち夫婦は遅く結婚し、性関係に積極的です. だけど、毎回あまりに激烈で、あまりに早く終わりました. 私は恐らく挿入セックスに関する幻想を持っていたようです. ある日、夫が眠ってから自慰をしました. 久しぶりに興奮を感じることができたのです. 夫が聞くかもと思って声を出さないようにするのが難しい程でした. その後、時々性関係の前や後に自慰をしたりしました. ある日、夫に自慰をしてみようと薦めました. 夫は若干うろたえている表情でした. まず、夫の自慰を手助けして, その次に私が自慰する姿を見せたのです. どうやら、夫もやはり私を満足させなければならないという負担をいつも持っていたようです. その後、私たち夫婦は気楽に横になって、お互いを触って自慰をしたり, ゆっくりのんびり性関係を結ぶこともします. 前は性関係の翌日はいつも重苦しさがあったのに、最近は爽快です.”

女性の性に関する社会的脈絡を重要に考えてきた女性学者は、“性関係で満足を得ようとするなら、愛に関する幻想を警戒しなさい”と話してきた. その結果、相当数の女性は性関係自体を恐れて、相当数の男性は性的失敗を恐れるということだ.


性関係の代案? 性関係の一部!

ベティ・ドースンは“楽しい性は知識と忍耐がともなわなければならない”と忠告する.
実際に彼女が率いるワークショップでは、参加女性たちが男性のような性関係のポーズを行なってみる時間をかける. 挿入後、射精にに達する3分に満たない‘統計上の時間’の間、ヒジや手の平でだけからだに力をこめたまま動いてみた女性たちは、こういう姿勢に苦労する. 逆に、男性参加者に女性のポーズを行なうようにしても同じであった.
ベティ・ドースンによれば、“男性はターザン, 女性は聖人というような伝統的な性の役割が無意識的に内在されていたり、それだけが正常なこととして見なされるかぎり、生の半分を永遠に理解することはできない”というメッセージを残してもいる.

自慰を通じて、夫婦関係の新しさを探すようになったというフリーランサー パクさんはこのように話す. “男性でも、女性でも、自分が何を持っているのかが重要なことではなく、それで何ができるかが重要だ.”自慰は性関係の代案ではなく, 性関係の一部だという話だ.


キム・ソヒ記者 sohee@hani.co.kr