2010年7月ハンギョレ21 817号

薔薇色の人生

薔薇色の人生 [2010.07.02 第817号]
イラストレーション キム・デジュン

都心のあらゆる建物には幽霊が住んでいる.
人々は同じ空間で生活する彼らの存在をよく知らない.
共に仕事をしながら混ざっている時も、彼らを凝視する人はまれだ.
時々、エレベーターの中や食堂で彼らと共にするとき、人々は仰天する程ではなくても露骨な嫌悪や不快感を表したりする.
動かない時の幽霊たちは、倉庫や地下配管室, 階段の下等でできるだけ人々の目に入らないように送る.
それさえ難しい条件では、人々の大小便の音を聞きながらトイレの脇の物置で休んだり仮眠することを強いられたりもする.そのような所を彼らの間では‘ビト’と呼ぶ.


わたしたちは幽霊ではない


老若男女現代人が動く都心のどこでも、彼らの手助けがない所はない.
毎日過ぎる地下鉄で, 勤めるビルディングで, 学校で, 退勤後に立ち寄るスーパーで, 清潔に関して神経を使って利用する公共トイレで, 建物のあちらこちらで居合わせるけれど、彼らを意識する人はほとんどない.
一日のあらゆる空間でぶつかる彼らの存在をほとんど認識しない.
平均年齢は58歳で, 60歳以上が50%近くを占め, 10人中8人は女性である彼らは清掃労働者だ.
明け方には急いで誰よりまず仕事場で清掃を始め、人々が出勤して活動する時間にはできるだけ体を隠す‘見えない労働者’だ.
中央雇用情報部員の産業別・職業別雇用構造調査(OES)によれば, 2008年基準全体経済活動人口の中で賃金労働者は1600万名をちょっと超える.
清掃労働者はそのうち2.3%に, 4番目に多くの人員を占めている.
総計426職業の中で4番目に従事者が多い職種とは、清掃労働が私達の社会にそれだけ普遍的で必須だという意味だろう.
だが、彼らに対する社会的認識と労働環境は私達が察する以上に劣悪だ.
大部分が非正規職であるのはもちろんで, 平均賃金79万6千ウォンで、80%以上が最低賃金に達し得ない.

難しい時期を勝ち抜いて誠実に暮らす人々に照明を当てるドキュメンタリーに、明け方始発バスや地下鉄に必ず登場する人たちがいる.
重い道具と作業服が入ったかばんを持って疲れた顔色の建設日雇い労働者たちと、中年を越えた清掃用役おばさんたちだ.
すっきりしていて地味な姿で総じて弁当かばんを持っているおばさんたちの姿には、明け方の時間を急ぐ慌しさがそっくり滲みでている.

誠実の模範としてTVドキュメンタリーに少しの間出演するのと違い、世の中は彼女たちが目につくのを良しとしない.
外聞や恥を知らないおばさんを語る時、男子トイレにズケズケと入ってきて、用を足す人々の脚の間にむやみにモップを押し込む大胆な‘清掃おばさん’として戯画化になる、世の中で話される彼女たちの姿だ.


暖かく食事をする権利を 

幽霊のように息を殺して必要なことだけを黙々と提供しろと世の中は彼女たちに強要する.
高齢であり、女性で非正規職である清掃労働者がその職種に従事した年数は平均14年を越える.
6月5日‘清掃労働者行進’で、彼女たちはトイレ脇の物置を借りたり暗い階段下で佗びしく食べた冷や飯ではなく, ‘暖かく食事をする権利’を堂々と主張した.
これ以上は隠れずに、これ以上は人の顔色をうかがわないという、彼らの行進標語には暖かい色合いの茶碗の中に静かに咲く薔薇の花一輪が可愛く描かれている.
暖かく食事をする権利を求めることが薔薇色の人生を夢見る開始として, 薔薇のようなピンクの風船を空に飛ばして幽霊ではなく‘労働者’だと叫ぶ彼らの笑いは大きくて明るかった.


シン・スウォン ‘手の平文学賞’ 受賞者

*この文は、民主労総公共労組が企画した映像物<薔薇色の人生>を参考にして書きました.