2014年1月ハンギョレ21 996号

昨年、日本国会を通過した特定秘密保護法案, 防衛省内の情報管理だけを対象に整備すればいいことを…

 [2014.01.27 第996号]
 

≫ 日本で1年以内に施行される特定秘密保護法案は、秘密指定範囲があいまいで、どんな情報も‘特定秘密’とされる危険性が大きい. 昨年12月26日、この法案に反対する市民団体会員たちが国会前でデモをしている.
ニューシス



昨年末、日本国会で特定秘密保護法案が通過した.
今後1年以内に施行される予定だ.

この法案は、日本の安全保障と関連した情報のうちで秘密指定が必要な内容を‘特定秘密’として指定し、取扱者の適性評価及び情報流出時の処罰内容を定めたものである.
ところが、秘密指定範囲があいまいなために、どんな情報でも‘特定秘密’とされる危険性が大きい.
また、秘密流出だけでなく、秘密を入手しようとした場合も処罰対象になり、言論の取材や学者の研究を遮ることも出来る.
それで、言論を中心に批判の声が少なくない.

自民党は去る15年間に起きた重大な秘密流出事件を例に上げて、このような事件を防止しようとするなら秘密保護法が必要だと言う.
ところが、事件発生件数は、15年間でわずか5件だ.
その上、事件の経緯を注意深くみると、果してこういう仰々しい法が必ずしも必要かという疑問がもち上がる.
日本政府が秘密保護法に該当する例に上げた2008年<読売新聞>に載った中国の潜水艦火災写真流出事件を見よう.
この写真は、米軍が撮って日本防衛省に提供したものであった.
写真が<読売新聞>に流出された経緯は、こうだ.
<読売新聞>の記者が妻帯者であることを隠して、ある女性と交際した.
ところが、彼女が事実を知ると、記者と連絡が切れた.
彼女は友人である自衛隊員に相談した.
自衛隊員は“良い情報があるので会おう”というエサで記者を誘引するのに成功した.
その席に現れた記者は、“情報とは何か?.早く見せてくれ”と督促した.
このままだと対話できないと考えた自衛隊員は携帯電話に保存してあった潜水艦の写真を記者に渡した.

5件中のもうひとつは、イージス艦システムの情報流出問題だ.
これもまた事情が見苦しいことでは同じだ.
マッサージ店で働いていた中国人女性が出入国法違反で逮捕された.
そして、彼女が暮らしていた家で押収されたコンピュータにはイージス艦関連データが入っていた.
この事件は‘中国つつもたせ事件’として言論に大きく報道された.
ところが、捜査の結果、その中国人女性は工作員ではない可能性が高いという.
中国人女性は、福建省の貧しい家で生まれて日本に密入国した.
マッサージ店で宿泊しながらお金を稼いで密入国斡旋ブローカーに借金を返しながら一日一日を生きていた.
彼女は中華料理店社長の紹介で自衛隊員に会った.
自衛隊員が女を紹介してくれと頼んだ中華料理店社長が自店の客の中国人女性を紹介したのである.
艦のなかだけで生活し、女性に会うことが なかった自衛隊員は彼女に会うやいなや同居を始め、彼女はまもなく妊娠した.
イージス艦データは何故その家にあったのか.
イージス艦関連データは同居中だった自衛隊員のコンピュータから出たのだ.
自衛隊員たちは特別な娯楽も無しに常時艦のなかで生活するので、アダルト動画を楽しんでいるという.
隊員たちの間で動画データを交換するのだが、その過程でイージス艦情報を管理する高位自衛隊員のデータが複写されたのである.
事件が起きると、中国人女性は即刻中国に 強制送還された.
彼女が産んだ子供は日本のある施設で育っている.
中国人女性は学校にほとんど通えなくて、英語は論外、中国の標準語である北京語も知らなかった. イージス艦データを理解することができたとは疑わしい.

2つの事件は防衛省内の情報管理を整備すれば十分に防げた問題だ.
実際、この2つの事件以後、防衛省の情報管理体系が変わった.
いまは携帯電話を作業場に持ちこむことも禁止されている.
どんなに考えても、特定秘密保護法案は国家情報の透明性を遮るための安倍政権政府の口実に過ぎないように見える.


東京=キム・ヒャンチョン 在日同胞 3世・自由寄稿家