龍山電子商店街 Windows98 値下げ闘争…“技術従属
脱却” 使用者も加わり、反独占の火種
(写真/龍山電子商店街に掲げられた反マイクロソフトの垂幕.
商人たちは消費者団体等の協力を期待している.)
世界的な独占企業と中小商人たちとのあいだの戦争が火を吹いている.
舞台は大韓民国.
一方は、ビル・ゲイツ神話のマイクロソフト社であり,
反対側には、龍山電子商店街の商人たちと、無名のコンピュータ使用者たちが立っている.
小人と巨人の戦いだと比喩できる局面だ.
Windows98価格を適正為替レートに合せろ
戦いの直接的な発端は、龍山商人団体の電子団地の商店街振興事業協同組合(組合)が、さる3月5日、マイクロソフト社の寡占横暴に対抗して全国民署名運動と決起大会を繰り広げる、と宣戦布告をして始まった.
組合が明らかにした要求事項はこういうものだ. 最初,
為替レートが1900ウォン台であった時に策定されたWindows98の価格を、1200ウォン台の為替レートに合せて現実化すること,
二つ目, 外国での販売価格と公平を合せること, 三つ目,
大企業にだけ値段を安く供給する価格不合理性を是正すること,
四つ目, 情報員を使った不法複製のおとり捜査を中止すること….
ここに 釜山のハンチャン情報タウンと 伽耶コンピュータ卸売商街,
大邱の総合流通団地電子館, 光州クムナム電子ランド,
大田ドゥンサン電子タウン等、全国の中小コンピュータ商たちも一斉に加勢した.
3月24日には全国各地で同時に決起大会が開かれた.
Windows98は名実共に世界のコンピュータ界を平定したOSだ.
世界全体のOS市場の90%以上を占有している.
その確固たる位置は、IBM社のOS/2や公開プログラムのリノックスなどがとうてい及ばない状態だ.
Windows98は、これからはほとんど全てのコンピュータ使用者たちが選択するしかない‘生活必需品’のような存在になったのである.
“チョコパイやチャジャンミョン(註:ジャージャー麺.韓国ではとてもポピュラーで、日本でのラーメンのような位置にある)の価格一つの変更にも制約が加えられる国で、コンピュータの90%以上に設置されるOSの価格が、他人の手で理由も知らされないまま、思うままにになる状況が絶対正常に見えない”というあるコンピュータ使用者の話は、今回の戦いの底辺に敷かれた背景をよく説明している.
しかし、宣戦布告をされたマイクロソフト社は淡々とした反応を見せている.
商人たちの要求が誤った資料に基づいているだけで、いちいち対応する問題ではないという態度だ.
為替レート問題に対して、マイクロソフトは“今のWindows98価格は、1100ウォン台の為替レートを適用して算出したものであって、昨年、為替レートが1900ウォン台であった時にも、この価格をそのまま維持した”と説明する.
“外国に比べて高いわけではない”
(写真/マイクロソフト韓国支社.
龍山の商人たちの主張とは違い、Windows98価格が外国に比べて高くないと主張した.)
韓国で販売されるWindows98価格が、日本や台湾等の外国に比べて高いという主張に対しても、マイクロソフト側は反駁資料を提示して一蹴する.
マイクロソフトが出した資料によれば、韓国の推定小売り価格は、標準版(初使用者用)が25万ウォン,
アップグレード版が13万ウォン, アカデミック版(学生用)が9万3千ウォンだ.
台湾は、標準版25万1千ウォン, アップグレード版13万5千ウォン,
アカデミック版9万3千ウォンであり, 日本は標準版25万9千ウォン,
アップグレード版14万4千ウォン, アカデミック版7万5千ウォンになっている.
韓国とほとんど似た価格水準だというマイクロソフト社の説明だ.
だが、龍山電子商店街側と一部コンピュータ関連グループ側では、マイクロソフト社資料の信憑性に疑問を提起する.
‘ハイテル OS同好会’は“現地を訪問して調べた結果、日本ではマイクロソフト側の言う数値と似た価格だったが、台湾では標準版を13万4千ウォンで売っている”と明らかにした.
インターネットを通じてわかった、米国の標準版価格も19万2千ウォンで、差が出ているというのが、彼らの主張だ.
<ハンギョレ21>が、現地の通信員を通じて確認した結果もこれと似ていた.
マイクロソフト側の主張は概して合ってはいるが、部分的に外国の販売価格が私たちのものより低廉なことを確認することができた.
日本でのアカデミック版は6万ウォン以下であり,
中国は標準版のデパート小売り価格が15万ウォン程だった.
外国では学生達に値段を安く供給するアカデミック版が、韓国では広っまていない点も論議沸騰になっている.
マイクロソフトのファン・チュンギル課長は“現在、アカデミック版市場は全体の8%程度で、先進国の10〜20%に比較すれば低い数値だが、着実に増えている趨勢”だと明らかにした.
現在、100余郡の大学売店と龍山,
そして、マイクロソフト製品を売っている9千余の販売店中の多くの店で難無く購入することができるというのがマイクロソフト側の釈明だ.
マイクロソフト側は、会社のホームページと隔月で2万部を発行している<マイクロソフトマガジン>の一番後ページに学生用バージョンを広報してきていると明らかにした.
これに対して、龍山のある商人は“龍山ですら学生用バージョンをあまり見かけない”とし、“容易に購入することができるというのは嘘”と話した.
また違う商人は、“学生用バージョンについての広報も正しくないが、価格問題が表面化して、あわてて弁解している”と非難した.
“マイクロソフト側の主張通りに広報がうまくいっているのならば、龍山商店街の消費者の70%を占める学生達が敢えて龍山商店街を訪れて不法複製品を求めない”というのが商人たちの指摘だ.
電子商店街の商人たちは、何より、組立業者(註:店舗自身が部品を組み合わせて作るパソコン業者が韓国では多い)用Windows98価格が、大企業と比較して差別を受けている点を核心的に問題視している.
龍山商店街等、組立業者に供給されるDSPバージョンが15万ウォン線であるのに比べて、大企業に販売するOEMバージョンは、その半分にもならないということだ.
商人たちには直接的な利害関係がかかった問題だ.
マイクロソフト側はこういう価格差別を認めながらも、“購買規模によって割引率を別にすることは全世界的に共通だ”と反駁する.
マイクロソフト社資料によれば、製造業者用として供給されるWindows98価格は、バラで買えば9万9600ウォン(83ドル),
55本バンドルで買えば1本当り9万ウォン(75ドル), 10万本バンドルなら1本当り6万6千ウォン(55ドル)だ.
ユン・ジュンホ 組合理事長は、これに
対して“政府認可を受けた組合が、中小企業中央会議資金支援まで受けて、3回も共同購買交渉を繰り広げた”としながら、“マイクロソフトが結局受け入れない理由がわからない”と話した.
彼は、1年に20万本を消化できる1500余のコンピュータ組立業者が組合を通じて共同購買するという提議をしたのに、マイクロソフト側で価格引下げを拒んだことは、独占を享受しているところから出てきた横暴だと指摘した.商人たちは、昨年3月、マイクロソフトがワードプロセッサーのMSワード97を100万本大学街で無料配布したことについても、マイクロソフト社の主張に反駁する.
すなわち、アレアハングルという、強力な競争相手があるソフトウェアには、損害をこうむりながらまでも無差別的に配布して,
独占的地位にあるソフトウェアの高価政策を固守しているという指摘だ.
実際、競争がある時とない時、消費者が感じる負担は天地の差だ.
マイクロソフト社と龍山電子商店街の商人等の戦いに、一般消費者までが加勢している理由もここにある.
ハングル特性を無視したOSも使用者を刺激
現在、反マイクロソフト運動のまた別な一軸を形成しているのは、ハイテルOS同好会を中心にしたコンピュータ使用者たちだ.
単一同好会としては最大の4万5千余名の会員数を誇るOS同好会は、さる2月から‘マイクロソフト寡占ディベートルーム’を作って、この問題を本格的に俎上に上げた.
さる3月20日に開かれた定期総会は、マイクロソフトの寡占横暴に対する糾弾の場だった.
彼らは“今のコンピュータOS市場は、物を買おうという人がメーカーも,
望む機能も, 価格も選択出来ない状況だ”と指摘した.
望む機能を選択出来ないというのは、さる95年、政府とコンピュータ使用者たちの要請にもかかわらず、Windows95にハングル特性を無視した,
拡張完成型というハングル体系を導入したことを指す.
ネチズンたちは、この他にもマイクロソフトの数種類の‘失敗’による不快な記憶を持っている.
さる96年には、百科事典CDのエンカルタに独島(註:竹島の韓国地名)を‘竹島’と表記,
97年にはコンピューターゲーム‘帝国の時代’(Age of Empire)
シナリオで、伽耶を日本大和王朝の植民地だと表現した.
また、昨年3月、ハングル版Windows98ベータバージョンCDには太極文様が逆の太極旗を載せて、ネチズンたちの抗議を買った.
今回の‘Windows98戦争’で、マイクロソフトが強力に前面に押し出している武器は不法複製問題だ.
龍山の商人たちが認めるように,
龍山を訪れる相当数の消費者は不法複製を要求し、商人たちも彼らの要求に答えているのが事実だ.
マイクロソフトが今回の龍山商人の‘反乱’を不法複製問題と連結させる点もこういう脈絡からだ.
キム・グン
マーケティング理事は“以前は龍山のマイクロソフト製品の大部分が不法複製品だったために価格競争力を持っていた”としながら、“最近、検・警の取り締まりや私たち自体の取り締まりで不法複製が大きく減って、龍山の価格競争力が事実上消えた”と話した.
しかし、龍山商人たちは、取り締まりが強化された昨年末から不法複製が大きく減っていたと真っ向から対立する.
最近では、OSさえもインストールしないで機械的な組立だけした、いわゆる‘あき缶PC’を売ることもしょっちゅうだというのが、彼らの説明だ.
“お客さんに対して正規商品を買って使え、とはまさか言えません.
非常に高いからですよ.
近くの大企業の代理店で買わずに、ここまで出てくるお客さんたちは、大部分がお金のない学生です.
僅かな金、1000ウォンでも安く買おうと、一日中商店街を歩き回って、部品一つ一つまで直接選ぶお客さんたちなんです.
いっそ、あき缶を差し上げるから、複製CDを買って使えということですよ.”
商人たちは消費者運動団体の協力を期待
龍山の商人たちは、一歩進んでWindows98の高い価格が不法複製の間接的な原因だと反撃を加える.
価格が適当であれば、顧客に正規商品を使用するように薦めるのに,
あまりにも値段が高いために、お客さんに向けて不法複製をするか、でなければ、お客さんをなくすしかないという話だ.
“1万ウォンのアレアハングル8・15のようなソフトウェアは、消費者が価格を肯定するために大部分がありがたく思いながら正規商品を買う.
だが、値段が高いWindows98に対しては、最初から正規商品使用は考慮もしない.
値段を大企業供給価格程度にまで下げてやれば消費者を説得できる.”
外国とは異なる私たちの市場環境をマイクロソフト側で全く考慮していないことが問題だという指摘も提起されている.
外国と違い、組立コンピュータ市場の比重が非常に高い、特殊な環境を無視しているという話だ.
龍山電子商店街のある商人は “組立コンピュータ用Windows98の価格を適正水準に下げながら正規商品使用についての啓蒙活動を繰り広げる2種類の接近方法が同時に必要なのに、マイクロソフト側は全く譲歩をせずに、不法複製取り締まりのムチだけを振り回している.
こういう戦略はうしろ暗い不法複製をそそのかして、正規商品使用に対する認識も改善できない悪循環を産んでいる”と非難した.
今回の‘Windows98戦争’がどのように
かたがつくのかは、速断するのが難しい.
とにかくマイクロソフト社の態度は非常に頑固だ.
その上、商人たちがこれからも結集力と持続力を維持していけるのか疑問だという懐疑的な観測も出てくる.
龍山電子商店街のある商人は、“誰か一度くらいは言わなければならなくなってきたことだが、商人というのは、元来、砂粒のようなもので、正しくやれば力を発揮するかもしれない”と用心深く見通した.
コンピュータ雑誌 <PC Line>のキム・フンシク部長は“マイクロソフト社としては、龍山商人たちが一糸乱れずに動くは見ていない”とし、“マイクロソフトに対抗しようとするなら、もう少し論理的で理性的な対処が必要とされる”と診断した.
組合側も、商人たちだけの力ではマイクロソフトを動かすことができないと見て、それと無く消費者団体などの協力を願っているのが実情だ.
むしろ、OS同好会側の活動に、より力が感じられる. 彼らは、来る4月からWindows98への対案として浮び上がったリナックスに関するセミナーを持続的に開催する一方,
情報通信部と公正取引委を訪ねて、マイクロソフトの寡占問題を提起する計画だと明らかにした.
OS 同好会等、使用者団体も加勢
OS同好会がさる3月20日開催した討論会では、仮にマイクロソフト社に一方的に引きずられるばかりならば、今後5年中に韓国は、経済的・技術的にマイクロソフト社の奴隷になるはずだという深刻な問題意識も表出した.
ユ・ギファン代表は、“コンピュータ OSは、社会に及ぼす影響が生活必需品のような存在になった”としながら、“これを独占する企業が消費者の問題提起に誠意を持って対処しないことは黙過出来ない”と話した.
反マイクロソフト気流が龍山商店街という枠を越えて、外縁をどの程度拡大していくのかが注目される.
パク・ヨンヒョン 記者
piao@mail.hani.co.kr
金KYUWON 記者
gim@mail.hani.co.kr
ハンギョレ21 1999年 04月 01日 第251号 .
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